本邦初のCDK4/6阻害剤パルボシクリブが近日保険収載

ファイザー株式会社が9月27日製造承認を得ていた、進行・再発乳がんを適応として近日発売予定の期待新薬CDK4/6(サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤パルボシクリブ(製品名イブランス®)のプレスカンファレンスが11月20日(月)に開催された。本剤は、2015年に米国で迅速承認され、全世界では既に70,000人以上に使用されているという。昨年のESMOではGAME CHANGERと評された抗がん剤である。

挨拶するファイザー株式会社 取締役 執行役員 オンコロジー部門長 中村 誠 氏

本薬剤の第一の成果は、乳がん再発の一次治療時において、進行・再発乳がんの無増悪生存期間(PFS)をプラセボ群(ホルモン剤)との併用群(14.5ヵ月)より約10カ月間延長し、24.8カ月間(p<0.000001 層別log-rank検定)の結果を示したことにある(PALOMA-2試験)。また、その副作用の頻度や重症度もプラセボ群と比較してほぼ同等であった。

一方、進行乳がんの二次治療、三次治療群においても(PALOMA-3試験)、同じく主要評価項目のPFSを、プラセボ群に比して約6.6ヵ月間延長(p<00000.1 層別log-rank検定)させた。

発表に当たった日本乳癌学会 理事長 昭和大学医学部乳腺外科学 教授 中村清吾 氏は、乳がん治療の歴史を紹介することで、イブランス®において、転移・再発乳がん治療のパラダイムシフトが起きつつあると述べた。

また、続いて講演された愛知県がんセンター中央病院 副院長 兼 乳腺科 部長 岩田広治 氏は、臨床試験データの結果を高評価するとともに、日本の臨床医の裁量権の広さにも言及。本剤の適応症を守り、患者さんとよく相談しつつ、本剤を進行・再発乳がんの治療に適正に使用して頂くことで、イブランス® は本邦でもホルモン受容体陽性、HER2陰性の乳がん患者に、年間約1万人以上使用されるだろうと述べた。

カンファレンスの最後には、日本の乳癌患者さんと欧米で撮影された患者さんのメッセージ動画が流された。

医科健ラボ

医科健ラボ(イカケンラボ)は、医学(medicine)、科学(science)、健康(health)に関する最新のニュースを提供するサイトです。

0コメント

  • 1000 / 1000